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熊本県立劇場は1年をかけて、熊本県菊池市に伝わる室町時代の型を有している「松囃子御能」をすでに復元して上演しており、これと合わせて「熊本の『動』と『静』を観る」イベントの開催を企画した。神楽の合間合間に能を挿入していくという前代未聞の舞台である。
熊本県立劇場は県内の神楽を再調査したが、再び波野村中江と同じ様に、多くの困難を乗り越えて、1年有余の歳月で完全復元出来る保存会と、意欲のある町村は容易に見つからなかったが、かっての村役場の観光課長が退職して保存会の会長となり、長野岩戸神楽の再興に尽力してみたいと語っていた情報を得て、県立劇場は直ちに保存会と村の双方に対する交渉に入り、承諾を得ることが出来た。
波野村中江神楽はすべて口伝で技術を伝承していたが、長陽村長野には幸いなことに、舞い方の脚本らしきものが伝わっていた。
これをもとに練習を開始すると、熊本市などに流出していた若い人々が、夜の練習に仕事が終ってから車で駆けつけ、村を一緒に興そうとする気運が、急速に高まっていった。
かつての村人は子供の頃から折にふれて神楽を見たり教わったりしてきたので、舞い方が身についていたが、地域から離れると、日常性に欠けるために、舞はもちろんのこと、太鼓や鉦の鳴らし方も基本から習得しなくてはならず、会長はじめ指導者はしばしば困難な立場に置かれたが、1年間の猛稽古は村人の応援を得て、次第に形を

長陽村「岩戸神楽三十三座」と神楽殿
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